青空純愛アドベンチャー
幼い頃からバスケットボール一筋で、気がつけば、まぁそれなりにスター選手。ジュニア時代から全国の常連に名を連ね、いよいよ日本選抜選手候補までに登り詰めて“さぁ、これからヤったるぜ!”ってなオレを、ジクリと地味に痛む右膝痛が襲った。ただの過労だろうと思っていたが、医師の診断は最悪なものだった。「もう、激しい運動は控えた方が良い。さもなければ君の足は――」2年後、騙し騙しバスケを続けてきたが、膝が最後の悲鳴を上げた…。
身長は177cm。世間一般からすると高い部類に入るのだろうが、選手としては低い。そのハンデを少しでも埋めるため誰よりも高く飛ぼうと努力してきた。厳しい練習にも耐えて来たが、自分の身体が根を上げた。残念ながら、一流となるために必要最小限の資質を持ち合わせていなかったのだ。我ながら立派なことをしてきたと思う。誰にも負けない努力をしてきたし、結果も残してきた。後悔もしていない。今は、普通に学校に行って、友達と馬鹿やったり、放課後は街で遊ぶ、ごく当たり前の誰もが送る毎日を過ごしてきた。しかし、夜になるとリハビリをしている自分がいた。もう、選手としてコートには立てないのに、後悔もしていないのに…。
そして、バスケを失って迎える初めての夏が、雨に煙る雲間の向こう側から顔を覗かせていた。


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